今回は薬局での栄養指導についてです。
私個人の考えになりますが、「未病」という分野において管理栄養士による栄養指導は非常に重要な要素になると考えています。
現在は当薬局では無料の栄養相談を実施しています。そのお声をクリニックが患者さんからお聞きし今回業務提携に向けての協力関係が進みました。
Drの中でもやはり栄養指導の必要性のある方が多くいると感じているようで、管理栄養士がいるのであれば協力した方が患者にとってメリットになるだろうと。
私自身、同じ考えであったためクリニックとの関係性強化も含め進めているところです。
外来栄養食事指導料
まずは、外来栄養食事指導料について。
これはクリニック・診療所など病院側が算定する項目です。
- 外来栄養食事指導料 令和4年現在
- イ 外来栄養食事指導料1 (医療機関所属の管理栄養士から)
- (1) 初回
- ① 対面で行った場合 260点
- ② 情報通信機器等を用いた場合 235点
- (2) 2回目以降
- ① 対面で行った場合 200点
- ② 情報通信機器等を用いた場合 180点
- (1) 初回
- ロ 外来栄養食事指導料2 (外部の管理栄養士から)
- (1) 初回
- ① 対面で行った場合 250点
- ② 情報通信機器等を用いた場合 225点
- (2) 2回目以降
- ① 対面で行った場合 190点
- ② 情報通信機器等を用いた場合 170点
- (1) 初回
- イ 外来栄養食事指導料1 (医療機関所属の管理栄養士から)
今回の場合ですと、医療機関から薬局への依頼のため外来栄養食事指導料2の加算が医療機関が算定できる点数となります。1点10円なので初回対面で2500円となります。
また初回の相談は30分、2回目以降は20分が目安となっております。
薬局側で医師の指示のもと依頼があった場合でも算定できる加算や指導料はありません。医療機関が内部に管理栄養士がいればその中で算定(点数がまた違う)。外部へ栄養指導を委託し、クリニックは点数算定、業務委託先に委託料を支払って行うの2択になります。
薬局側としては業務委託を行わない場合はクリニック側も算定することはできず、薬局側も委託料はないためその場合は独自で必要性の高い方に自社の栄養相談を行わないかお声替えを行うことになるかと。
薬局さんによっては医師の依頼に関係なく栄養指導を実施しているところもあります。そこは無料から500円前後の料金設定しているところが多い印象です。
私の薬局でも現在は無料での栄養指導を管理栄養士さんが行っておりました。
しかし会社としては管理栄養士を雇っている以上そこに利益がのってこないと働いている栄養士さん自体に還元も難しいですしモチベーションアップにもつながらないでしょう。
外来栄養食事指導料の対象
・厚生労働省が定める特別食 (医師が必要と判断した方)
・がん患者
・摂食機能または嚥下機能が低下した患者
・低栄養状態の患者
上記の特別食としては・・・
- 腎臓食
- 肝臓食
- 糖尿食
- 胃潰瘍食
- 貧血食
- 膵臓食
- 脂質異常症食
- 痛風食
- てんかん食
- フェニールケトン尿症食
- 楓糖尿症食
- ホモシスチン尿症食
- 尿素サイクル異常症食
- メチルマロン酸血症食
- プロピオン酸血症食
- 極長鎖アルシ−CoA脱水素酵素欠損症食
- 糖原病食
- ガラクトース血症食
- 治療乳
- 無菌色
- 小児食物アレルギー食
- 特別な場合の検査食
上記の特別食の中には
・高血圧などのへの減塩食
・潰瘍などの方用の潰瘍食
・クローン病・大腸炎などの方への低残渣食
・肥満度が高い方への特別食
なども含まれます。
業務委託契約について
では、実際に医療機関からご依頼があった場合、薬局としてどのように対応すべきでしょうか。
無料で行ってもよいですが、可能であれば医療機関も算定ができるように打ち合わせし業務委託契約を結べるようにしましょう。
薬局単位での契約でもよいですが、管理栄養士が店舗に在籍していないといけないためグループ薬局であれば会社単位での契約にした方が無難です。
加算でとれる点数を医療機関と薬局の利益とし割合を契約書に明記。設定した金額を委託料として医療機関から薬局へ支払うというのが流れです。
件数が多い場合は、年間での委託料を別途請求してもよいかもしれませんが、門前との関係性次第になるかと思います。
依頼書と報告書
医療機関が算定するため、要件として指示内容や報告の内容など中身も充実させなければなりません。
様式についてはフォーマットがないので各自作成しクリニックと共有していきましょう。各都道府県の栄養ケアステーションにはあると思いますが・・・
一度、各都道府県の栄養ケアステーションを参考にしてみるとよいかと
最後に
薬局にも管理栄養士さんが在籍しているところが増えてきました。
「未病」の分野において今後の薬局業界で必要になってくるはずです。厚労省の調剤報酬改定がそれを後押ししています。
ただ、現状では管理栄養士さんがしっかりと薬局内で職能を活かし働いてくるかというと、全てではないでしょう。
今回の例のように医療機関と薬局の連携は管理栄養士の職能発揮の場になると感じます。ぜひとも、管理栄養士の在籍している薬局には門前などと連携をとり患者さんのサポートをしていただければと思います。